本文へジャンプ
団体紹介

有識者メンバー紹介

2016年度 有識者メンバー紹介

敬称略

  • 安西 祐一郎

    安西 祐一郎

    日本学術振興会 理事長

    メッセージ

    安西 祐一郎

    安西 祐一郎

    日本学術振興会 理事長

    人は誰でも、一人ひとりがたくさんの多彩な能力をもってこの世に生まれてきます。一回かぎりの学校や就職によって、自分の能力のごく一部を使うだけで人生がすべて決まってしまう、そういう時代は過去のことになりました。

    これからは、「自分の底に隠れていた能力を自分で発見し、磨き、それによって他者に貢献し、生活の糧と生きる喜びを得る」、そういう時代がやってきます。 こうした時代には、私たち一人ひとりが希望と目標を持ち、知識を広め、それらをさまざまな感動の体験によって血肉にしていく、そういう意味での「独立して生きる力」を養うことが大切になります。 他方、地域や世代、民族や国家、宗教間の軋轢、また生命、安全、環境の問題など、これからの時代には、前の時代にも増して、人々の利害が直接からむ課題がたくさん現れてきます。 こうした時代には、他者の痛みを感じ、他者の思考を理解し、自分の思いを伝えながら、信頼関係を見出していく「協力して生きる力」を、多くの体験を通して養うことが大切になります。 「独立して生きる力」と「協力して生きる力」を、さまざまな感動の体験を通して身につけていくことができる、そういうこころを育むことが大事だと考えています。

  • 石井 幹子

    石井 幹子

    (株)石井幹子デザイン事務所 主宰

    メッセージ

    石井 幹子

    石井 幹子

    (株)石井幹子デザイン事務所 主宰

    いま、日本ではさまざまな問題が起こっています。特に子供を巡っての痛ましい事件が、多くなっているもの事実です。「いじめ」や「虐待」、自分が生んだ子供を捨てる親や、親を殺害する子供など、かつてはあまり報道されなかった事件も増えています。昔はこんなことはなかったと云ってみたり、教育が悪かったと片づけてしまうことは簡単です。そんな状況を何とかしなくてはという危機感を持って集まった私たちは、真剣に討議を重ねてきました。内容については、「提言」に充分に盛り込まれています。

    しかし、考えてみると、私たち自身が反省しなくてはならないことが沢山あります。こんな社会を創ってしまったのは、二十世紀後半を生きてきた私たち世代の責任ではないかということなのです。戦後の貧しかった日本は、何とか国が立ち直り、国民が日々食べて行くことが精一杯でした。産業を興し外国に輸出すること、欧米の文化文明をキャッチアップすることに明け暮れていました。それが経済最優先で効率本意の社会となってきたことは周知の通りです。
    二十一世紀となって、日本の社会にも少しずつ変化の兆しが見えてきたような気がします。日本の良さを見つけよう、日本の文化を再認識しようといった日本再発見の動きや、田舎暮しへの憧れやスローライフの提案といった環境志向などが、少しずつ浸透しはじめたのもその証ではないでしょうか。
    家族を大切にしよう、一人一人の個性を大事にしよう、仕事以外の暮しを楽しもうといった大人が増えて来ることが、子供の命を守り、こころを育んで行くことにつながると私は思っています。二十世紀中半から終わりにかけて、長い間壊してきたものをこれから時間をかけて修復し、時には解体して新しく創りなおすことをして行かなくてはなりません。
    日本人は本来自然を尊び、人との調和をはかって生きてきました。明治以後、特に第二次世界大戦後の日本は異常な社会だったのかもしれません。二十一世紀には、日本の伝統や文化を継承しながら、世界の中での日本を視野に入れて、伸びやかで謙虚な社会を創って行くことが、美しく豊かなこころを育むことなのではないでしょうか。

  • 市川 伸一

    市川 伸一

    東京大学大学院
    教育学研究科 教授

  • 上田 紀行

    上田 紀行

    東京工業大学リベラルアーツ教育研究院長・教授

  • 葛西 敬之

    葛西 敬之

    東海旅客鉄道(株)
    代表取締役名誉会長

    メッセージ

    葛西 敬之

    葛西 敬之

    東海旅客鉄道(株)
    代表取締役名誉会長

    人間の心は水である。水は「器」を得て初めて形をなし有用となる。「器」が失われれば時として制御不能となり、洪水となって災害をもたらす。人間のこころも同様であり、器が必要である。器の典型的な例を挙げれば家庭があり、地域社会があり、その根本は国家がある。器を作っている素材は形であり、それは生活習慣であったり、礼節であったり、集団の規律であったりする。言語を始めとする伝統文化、信仰もまた器の素材である。

    今、日本人の心のすさみが問われるに至ったその原因は過去六十年にわたって日本社会が「こころの器」を軽んじ、しばしば否定してきたことの報いであり、形を捨て去った天罰だと思う。こころを育むためにはまず容を正すことから始めなければならない。「早寝、早起き、朝ごはん」も良い。学校においても、家庭においても、職場においても時に触れて国旗を掲揚し、国歌を歌うことから始めるべきだ。

  • 梶田 叡一

    梶田 叡一

    奈良学園大学 学長

  • 佐々木 毅

    佐々木 毅

    東京大学名誉教授

    メッセージ

    佐々木 毅

    佐々木 毅

    東京大学名誉教授

    「こころを育む」のは結局のところ自分自身である。そのためには先ず自分が自分を大切にする気持ちがなければならない。それは他人との出会いの中で育まれる。他人との出会いは自分を外から見つめる上で欠かせない過程である。自分を内からだけではなく、外から見つめることによって初めて自分を大切にすることの意味が分かってくる。本当に自分を大切にする気持ちが出てくれば無茶なことはできなくなり、勉強することを含め、努力が身についたものとなる。

    周囲の人間にできることは自分が自分を大切にする気持ちを育むバランスのよい環境を作ることに尽きる。これは難しいことであるが、家庭や学校という場からワーク・ライフ・バランスまで、やるべきことは山積している。これまで随所で試みられてきた貴重な体験と工夫を再発見し、互いにネットワークを作って結びつけ、一歩でも二歩でも、こうした環境を作るために力を合わせるようにしていきたい。

  • 滝鼻 卓雄

    滝鼻 卓雄

    元 読売新聞東京本社
    会長

    メッセージ

    滝鼻 卓雄

    滝鼻 卓雄

    元 読売新聞東京本社 会長

    「早寝、早起き、朝ご飯」という言い慣わしがある。当たり前のことだったが、いまでは死語に近いと言う人がいる。 そうだろうか。健康的な家族、結束の強い家族、何でも言い合える家族、いつも集まることのできる場所を持っている家族。そういう家族は「早寝、早起き、朝ご飯」を実行し得る家族だろう。もちろん親の転勤、共働き、子供の進学、家族の病など、「早・早・ご飯」を実現できない事情も多々ある。

    それでも、家族の絆を強めるため、「早・早・ご飯」を実現しようと努力するのとしないのとではその違いはあまりにも大きい。 二年近く、私は「こころを育む総合フォーラム」に参加し、各界の方々のお話を聞いてきた。そして、いまこの国で起きている輊混乱軫の根底にあるものは、家族の絆の喪失ではないかと、確信に近いものを感じとった。 この問題は公的機関によって構成された会合では、結論の出しにくいテーマである。民間人だけが集まった「フォーラム」であるからこそ、深く議論ができたと思う。

  • 竹内 洋

    竹内 洋

    関西大学 東京センター長

  • 張 富士夫

    張 富士夫

    トヨタ自動車(株)
    名誉会長

    メッセージ

    張 富士夫

    張 富士夫

    トヨタ自動車(株)
    名誉会長

    私は「もっと人の良い点を見るようにしよう」「そしてほめる習慣を世の中に根づかせよう」と言いたい。日本は決してダメな国でもないし将来が暗い国でもない。それどころか世界一安全な国で外国から羨しがられている。ところが悪い点ばかりがニュースになって、もうこの国は将来がない、大変な世の中になってしまったなどと思う人がかなりいる。

    しかし悪いニュースの何十倍もすばらしい現実がある。ただ皆それを知らないか、見過ごしているだけだと思う。だから家庭でも学校でも地域でも、もっと良いことを認め、ほめないといけない。 人の心もやさしさから意地悪さの間でゆれ動く。組織体も良いこともやれば失敗もする。良いことをやった時、他から認められ、ほめられ手本にされると、人は皆やる気を起こしさらに頑張るものである。 教育については特に「ここにこんなすばらしい学校がありますよ」「先生たちがこんなに努力して成果を上げてますよ」「子供たちがこんな立派なことをやってくれました」など良い点をとり上げて皆に紹介し、ほめて広めることが大切である。 今はクリスマスシーズン。今頃アメリカの各都市ではクリスマスディナーのバンケットが盛大に開かれ、席上今年一年恵まれない人々に一所懸命つくした名も無い人が表彰され皆の祝福をうけていることだろう。

  • 遠山 敦子

    遠山 敦子

    パナソニック教育財団 顧問

    メッセージ

    遠山 敦子

    遠山 敦子

    パナソニック教育財団 顧問

    このフォーラムを立ち上げて二年、メンバーの皆さんの絶大なご協力を得て今回の提言となった。これを契機に大人も子どもも、せめて「自分が人からされて嫌なことを人にしない」ことだけでも守るようになりたい。 その上で子どもたちに、生きるための支えとなる糧を家庭で何か一つしっかりと身につけてやれないものか。

    例えば挨拶、親切、思いやり、読書、自立、努力、勇気、学ぶこと、考えること、世に尽くすこと、志を高くもつことなど心の作法といったものであれば何でもよい。子どもの心にその一粒の実を与えられれば、親のなすべき使命はおおむね達成したといえる。子はその実を自ら育てて、人生の花を咲かせていくことができるからだ。 もう一つ都市化とIT機器万能の今の時代にこそ、心を養うためにどうしても取り入れたいのが自然とのかかわりだ。自然の持つ美しさ、厳しさ、そこに生きる生命の多様さと不思議さに触れることで、人は無量の英知と感性を学びとる。他者とともに味わう自然体験は必ずや人生に潤いを与え、生命を大切にする心情につながる。しかも育むべき日本のこころの源泉が、そこにある。

  • 中村 桂子

    中村 桂子

    JT生命誌研究館 館長

    メッセージ

    中村 桂子

    中村 桂子

    JT生命誌研究館 館長

    こころを育むという議論に参加しながら考え続けていたのは、私たちはなぜこれほど生きにくい社会を作ってしまったのだろうということでした。提言は、皆が自信を持って生き生き暮らすための具体案であり、そこから鍵となる言葉を拾うと、手塩にかける、関わりを大切にする、場を開いていく、思いどおりにならないこともあると認めるなどが浮かび上がります。

    実は、これはすべて生きものの特徴です。現代は物質の豊かさに眼を向け過ぎたと言われますが、問題は豊かさではなく、そのために機械偏重の便利さだけを求めたことにあると思います。これが、先にあげた生きものらしさを消しました。人間が生きものであることを再認識し、他の生きものたちにも眼を向け、生きていることを実感する生活のある社会でありたいと思っています。たとえば食べもの。農業、食品づくり、お料理、食べ方…これらに気を配ると自ずと心が育まれると思います。輊生きている軫を見つめている人はしっかり地に足をつけて生きている。これが体験から得た実感です。

  • 長榮 周作

    長榮 周作

    パナソニック㈱ 代表取締役会長

  • 野依 良治

    野依 良治

    科学技術振興機構
    研究開発戦略センター長

    メッセージ

    野依 良治

    野依 良治

    科学技術振興機構
    研究開発戦略センター長

    美しい自然と四季に恵まれた日本に生まれ育ったことを本当に幸せに思います。そして長年にわたって培われてきた文化は、私たちの誇りであり心の拠りどころです。 幼少期には祖父母や父母たちから衣食住にかかわるさまざまな事柄と命の尊さ、さらに公徳心や礼節も習いました。学校や地域社会からは、友人たちとのかかわりの中で多くを学び、生きる術を身につけました。そして、どの国の人たちよりも勤勉に働いて、先人が築いた礎の上に豊かな文明社会をつくってきました。

    良き伝統とは継続に宿る本質です。日本人がもち続けてきた「かけがえのない」価値を、ぜひ若い世代に伝えたいと思います。加えて、時代に応じた革新も必要です。たとえ、明日に如何なる世界が開けようとも、常に健やかなこころを育み、真当な自然観と人生観をもって生きなければなりません。 一人ひとりがそれぞれに精いっぱい努力して知性と感性そして技を磨き、自立した人生を送って欲しいと願いますが、人は皆、立場が違う多くの人びとの理解と協力なしには生きて行けません。国もまったく同様です。四方を海に囲まれた日本は、世界に開かれた国です。新しい世紀にふさわしい視野をもち、他の国々と手を携え広く人類社会に貢献する国をつくろうではありませんか。

  • 平野 啓一郎

    平野 啓一郎

    小説家

  • 三村 明夫

    三村 明夫

    新日鐵住金(株) 相談役名誉会長

    メッセージ

    三村 明夫

    三村 明夫

    新日鐵住金(株) 相談役名誉会長

    今回の議論を通じて改めて痛感したことは、現在子どもたちが抱える問題の多くは、大人の問題そのものだ、ということです。よって、問題解決には、社会のすべての人々が、自らの課題として真摯に取り組むことが不可欠です。そうしたなか、我々企業として、子どもたちのこころを育み、こころを育むことができる大人を育成するために、どのような役割を果たすことできるのでしょうか。私は、「今すぐできること」からはじめるため、次の二点に取り組みたいと考えています。

    第一は、社員の教育を再度強化することです。バブル崩壊後、日本企業の多くは、生き残りをかけ、血のにじむようなリストラに取り組んできました。しかしその過程で、本来、充分に資源を投入すべきところにも手をつけざるを得なかったことも事実であり、その一つが社員教育だと思います。すでに当社では、6S(整理、整頓、清潔、清掃、作法、しつけ)の徹底等の基本的なルールの遵守、円滑な世代交代のための人材育成等、本来あるべき姿を取り戻す様々な取り組みを強化しているところです。 第二は、企業の持つインフラや社員を活用し、地域社会の子供との「交流」を一層活発化することです。具体的には、すでに行っている地域の小学生や先生の製鉄所見学をさらに拡大し、「ものづくり」の大切さを一人でも多くの皆さんに感じていただきたいと思います。 これらの取り組みを通じて、当社の企業理念である「社会と共生し、社会から信頼される」企業として、子供たちが真に日本の将来に希望を持てるような社会の実現に少しでも貢献できればと考えています。

  • 山折 哲雄

    山折 哲雄

    国際日本文化研究センター名誉教授
    宗教学者

    メッセージ

    山折 哲雄

    山折 哲雄

    国際日本文化研究センター名誉教授
    宗教学者

    まだ若かった貧乏時代のことだ。心がささくれ立っているようなとき、よく一人で散歩に出た。一時間でも二時間でも歩きに歩いた。そのうち胸中の鬱屈が晴れていく。ぶつけようのない怒りがおさまり、はてしない悲しみの海からはい上がることができた。涙が流れ、そして乾いていく。一種の爽快感を味わうことができた。それはたった一人で、黙々と歩いていたからだったと思う。

    群れからの脱出、である。仕事仲間や付き合い仲間からの逃走である。自分一個をこの広い天地の片隅に追いやる遊びである。オレは一人だと雄叫びをあげ、オレは一人だとわめき散らして歩きに歩く。すると不思議なことに道端に咲く草花が、こちら側の緊張しきった顔にいつのまにか微笑みかけてくる。空飛ぶ小鳥たちのさえずりが、硬直したからだに甘露のように降りそそいでくる。私は今でも一人で歩く。

  • 鷲田 清一

    鷲田 清一

    京都市立芸術大学 理事長・学長

    メッセージ

    鷲田 清一

    鷲田 清一

    京都市立芸術大学 理事長・学長

    幼い頃、母親が長く病の床に伏せっていたので、よく近所の商店街に買い物にやらされました。ビニールの買い物籠をもって、お肉屋さんにコロッケを買いにいくのがいやでした。揚がるのを待つあいだ、同級生に見つかるのがいやだったからです。八百屋さんや傘屋さんのおばさんに「えらいねえ」と声をかけられるのもいやでした。そっとしておいてほしかったからです。だからいつも一目散で帰りました。

    子どものときは、あの商店街のおじさん・おばさんたちの視線がいやでいやでしようがありませんでした。でも、いまになって思います。買い物籠をもって走るわたしの姿をちゃんと見ている近所の大人たちの視線に、見守られ、そして鍛えられたのだ、と。 よその子どもたちを見て見ぬふりをする大人たちが、かつての地域にはたくさんいました。いまは、ちゃんと見ないで、見たようなことを言うひとが多すぎます。大人に監視されるのではなく、見て見ぬふりをする大人にまじって自然に育つ、そんな環境が、いまの子どもには必要だと思います。

吹き出し
閉じる

2005年発足時 有識者メンバー紹介

敬称略

  • 安西 祐一郎

    慶應義塾 塾長

  • 石井 幹子

    (株)石井幹子デザイン事務所 主宰

  • 葛西 敬之

    東海旅客鉄道(株) 会長

  • 金澤 一郎

    国立精神・神経センター
    総長

  • 佐々木 毅

    前 東京大学 総長

  • 滝鼻 卓雄

    前 読売新聞東京本社 社長

  • 張 富士夫

    トヨタ自動車(株) 副会長

  • 遠山 敦子

    松下教育研究財団 理事長

  • 永井 多恵子

    日本放送協会 副会長

  • 中村 邦夫

    松下電器産業(株) 社長

  • 中村 桂子

    JT生命誌研究館 館長

  • 野依 良治

    理化学研究所 理事長

  • 本田 和子

    前 お茶の水女子大学
    名誉教授

  • 三村 明夫

    新日本製鐵(株) 社長

  • 山折 哲雄

    国際日本文化研究センター 名誉教授

  • 鷲田 清一

    大阪大学 副学長

※金澤 一郎様は2016年1月ご逝去されました。

協賛
  • TOYOTA
  • Panasonic
後援
  • 文部科学省
  • 東海旅客鉄道株式会社
  • 讀賣新聞
top