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石井 幹子

いま、日本ではさまざまな問題が起こっています。特に子供を巡っての痛ましい事件が、多くなっているもの事実です。「いじめ」や「虐待」、自分が生んだ子供を捨てる親や、親を殺害する子供など、かつてはあまり報道されなかった事件も増えています。昔はこんなことはなかったと云ってみたり、教育が悪かったと片づけてしまうことは簡単です。そんな状況を何とかしなくてはという危機感を持って集まった私たちは、真剣に討議を重ねてきました。内容については、「提言」に充分に盛り込まれています。

  石井 幹子  
     
 

しかし、考えてみると、私たち自身が反省しなくてはならないことが沢山あります。こんな社会を創ってしまったのは、二十世紀後半を生きてきた私たち世代の責任ではないかということなのです。戦後の貧しかった日本は、何とか国が立ち直り、国民が日々食べて行くことが精一杯でした。産業を興し外国に輸出すること、欧米の文化文明をキャッチアップすることに明け暮れていました。それが経済最優先で効率本意の社会となってきたことは周知の通りです。

二十一世紀となって、日本の社会にも少しずつ変化の兆しが見えてきたような気がします。日本の良さを見つけよう、日本の文化を再認識しようといった日本再発見の動きや、田舎暮しへの憧れやスローライフの提案といった環境志向などが、少しずつ浸透しはじめたのもその証ではないでしょうか。

家族を大切にしよう、一人一人の個性を大事にしよう、仕事以外の暮しを楽しもうといった大人が増えて来ることが、子供の命を守り、こころを育んで行くことにつながると私は思っています。二十世紀中半から終わりにかけて、長い間壊してきたものをこれから時間をかけて修復し、時には解体して新しく創りなおすことをして行かなくてはなりません。

日本人は本来自然を尊び、人との調和をはかって生きてきました。明治以後、特に第二次世界大戦後の日本は異常な社会だったのかもしれません。二十一世紀には、日本の伝統や文化を継承しながら、世界の中での日本を視野に入れて、伸びやかで謙虚な社会を創って行くことが、美しく豊かなこころを育むことなのではないでしょうか。