タイトルーこころを育む総合フォーラム
 
ホーム こころを育む総合フォーラムとは 全国運動 有識者会議 提言書申込 声の欄
ご挨拶 設立趣旨 メンバーからのメッセージ

ホーム > こころを育む総合フォーラムとは > メンバーからのメッセージ > 山折哲雄

 
 

山折 哲雄

まだ若かった貧乏時代のことだ。心がささくれ立っているようなとき、よく一人で散歩に出た。一時間でも二時間でも歩きに歩いた。そのうち胸中の鬱屈が晴れていく。ぶつけようのない怒りがおさまり、はてしない悲しみの海からはい上がることができた。涙が流れ、そして乾いていく。一種の爽快感を味わうことができた。それはたった一人で、黙々と歩いていたからだったと思う。

  山折 哲雄  
     
 

群れからの脱出、である。仕事仲間や付き合い仲間からの逃走である。自分一個をこの広い天地の片隅に追いやる遊びである。オレは一人だと雄叫びをあげ、オレは一人だとわめき散らして歩きに歩く。すると不思議なことに道端に咲く草花が、こちら側の緊張しきった顔にいつのまにか微笑みかけてくる。空飛ぶ小鳥たちのさえずりが、硬直したからだに甘露のように降りそそいでくる。

私は今でも一人で歩く。